「七十歳死亡法案、可決」 垣谷美雨
少子高齢化による財政難の解決に向け、「七十歳死亡法案」が可決された。
残された人生をどう生きるか?悲喜こもごもの物語。
宝田家を構成している家族の、それぞれの視点で物語は進んでいきます。
宝田家の嫁………東洋子(とよこ)
東洋子の夫………静雄
東洋子の姑………菊乃
東洋子の長女……桃佳
東洋子の長男……正樹
東洋子はわがままな姑の介護を担っているけど、やって当たり前のように、家族から感謝もされず爆発寸前。
長女の桃佳は「介護に巻き込まれるのはごめん」とばかりに、さっさと独立。
長男の正樹は、いい大学を卒業して銀行に就職。人間関係でつまずき3年で退職。
再就職先を探すも、選り好みするせいで、なかなか決まらずニート生活。
頼みの夫は「七十歳までの短い人生、好きに生きたい。」と早期退職して、「世界へ旅に出る!」という…介護が必要な姑を東洋子に押し付けて。
薄らぼんやり「家出したい…」と、考えはじめる東洋子。
とは言え、ずっと専業主婦で自立する自信がない。
「お金、どれくらい持って出られるだろうか…?」と通帳を確認しようとしたら、いつもの場所に通帳がないっ!
夫に聞いたところ…
「これからは俺が管理する」とのこと。
必要な生活費や、東洋子自身で使いたいお金がある時は、その都度渡すという。
「これでは本当の奴隷ではないか💢」と家中の現金を持って、家を飛び出します。
(この気持ち、すご〜くよく分かる。)
桃佳と正樹にも、生活の変化があります。
誰が主人公という感じではなく、それぞれの視点でバランスよく物語が進みます。
わたしは、年齢が近い東洋子に感情移入してしまいます。
垣谷美雨さんの作品は、なんやかんやで、それなりにハッピーエンド。
イヤミスばかり読んでいると「そんなにうまくいくかいな?」と思ってしまいます。
- 人生を諦めない
- 人生に遅すぎる、ということはない
- 自立心を忘れない