書店員のひとり向上委員会

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【元彼の遺言状 新川帆立】(しんかわ ほたて)

4月スタート フジテレビ系月9ドラマ化

綾瀬はるかさん主演の原作小説

第19回「このミステリーがすごい!大賞」受賞

 

 

 

主人公の剣持麗子はやり手の弁護士。

幼い時から負け知らずの人生を歩んできて容姿端麗。

 

プロポーズされて

「あなたの私への愛情は平均程度ってこと?」

と100万円以下の指輪を贈られたことに本気で怒る🌋異常なほどの金の亡者。

 

主人公のキャラゆえか

えげつない大人のドロドロした話に慣れすぎてるためか、個人的にライトノベルな感じ。

 

あらすじは

「僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る」という前代未聞の遺言状を残して、日本有数の製薬会社・森川製薬の創業者一族に連なる森川栄治が死去。

(別途、今まで付き合った女性たちにも遺産の一部を相続するという。)

財産目当てにわれこそは犯人と名乗り出る候補が乱立。「犯人選考会」が開催されることとなり、麗子は、莫大な成功報酬を夢見て、有力候補のひとりの代理人を引き受ける。

しかも麗子は、学生時代に栄治と3ヶ月だけ付き合った、代理人であり相続人。

 

庶民には縁のない創業者一族の莫大な財産の相続に関して(株の割り振りなど)裏側が分かり、勉強になります📓👓✏️

 

真相を探るため、元カノたちの間には不思議な連帯感ができてきた。

 

麗子のキャラのギャップから、森川家の代理人村山との絡みで弁護士としての矜持のような話のあたりは熱くなりました(;_;)

 

伏線は全て回収されてモヤモヤは残りません。

(「アノことは結局、どうだったの?」って小説、たまにあるよね?)

 

登場人物も覚えておける範囲で

(麗子の兄と、栄治の従兄弟が大学時代のゼミが一緒だった云々…というご都合主義はご愛嬌)

あっちこっちに話がトッ散らからずサクサクスイスイ読み進められました。

 

著者の新川帆立さん、この本がデビュー作。東京大学法学部卒業後、弁護士になったそう。

弁護士が書いた、弁護士が主人公の小説って思うと余計にリアリティーありますね。

 

・記憶に残しておきたいくだり

元カノの1人、朝陽は、攻撃タイプの麗子とは正反対の防御タイプ。

脅しに対して身を縮めて耐えることはできるけど、反撃に打ってでたりするのは苦手。

そんな朝陽は栄治の死因に不審感を抱き、できる限りの行動を起こす。

 

意気地なしには意気地なしなりの闘い方があるわけだ。相当怖がりながら、それでも一歩を踏み出したのだろう。